【香港情報】香港と中国本土をつなぐ新たな決済システムが始動
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「跨境支付通(Payment Connect)」運用開始
2025年6月22日、香港金融管理局(HKMA)と中国人民銀行(PBOC)は、共同開発による新たな越境決済システム「跨境支付通(Payment Connect)」の正式運用を開始しました。これにより、香港と中国本土間における個人の小口送金が、スマートフォンひとつで即時・無料・簡単に行えるようになります。
本制度は、香港の高速決済システム「轉數快(FPS)」と、中国本土の「網上支付跨行清算系統(IBPS)」を相互接続することで、両地域間のリアルタイム送金を可能にするものです。これにより、安全・効率的・利便性の高い越境送金サービスの利用が実現しました。
利用上限と通貨対応
香港 → 中国本土への送金(北向送金)
●利用可能者:香港IDを持つ香港居住者
●利用時間:24時間対応
●送金上限:1日あたり最大 HKD 10,000 相当
年間合計 HKD 200,000 相当
中国本土 → 香港への送金(南向送金)
●利用可能者:中国本土IDを持つ本土居住者
●利用時間:毎日 7:00 ~ 23:00
●送金上限:年間最大 USD 50,000 相当(中国の個人外貨購入枠に準拠)
通貨:香港ドル(HKD)または人民元(CNY)での送金が可能です。
送金には受取人の情報は、電話番号または口座番号の入力のみで可能。複数の銀行アプリから利用でき、手続きの手間も大きく軽減されました。
現在の参加機関(2025年6月22日時点)
香港側の参加銀行(6行)
HSBC香港、ハンセン銀行、中國銀行(香港)、中國工商銀行(亞洲)、中國建設銀行(亞洲)、東亞銀行
中国本土側の参加銀行(6行)
中國銀行、交通銀行、中國建設銀行、招商銀行、中國工商銀行、中國農業銀行
「1日最大 HKD 10,000 相当」は、1銀行あたりの上限のため、6つの銀行すべてに口座を持っている場合、最大1日HKD60,00、年間 HKD 1,200,000まで送金が可能となります。
将来的な広がりに期待
「跨境支付通」は、香港と中国本土間の個人送金をスマートフォンだけで完結できる画期的な制度です。手数料無料、即時反映といった利便性の高さに加え、経済貿易活動や人的交流の促進にも貢献することが期待されています。
また、香港の国際金融センターとしての地位や、オフショア人民元ビジネスハブとしての機能をさらに強化する取り組みの一環でもあります。今後、対象金融機関の拡大や制度の進化によって、利用範囲はさらに広がっていくでしょう。