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香港MTR(港鐡)6月に値上げ

除湿・冷房がすでに必要な香港から香港の経済ニュースを少しご紹介します。

 

香港に観光に来られた皆さんが必ず利用される香港の地下鉄、通称MTR、香港鐡路有限公司:略して香港の皆さんは港鐡(ゴーンティ)と呼びますが、今年もインフレ率に基づき、価格を上昇とのニュースです。6月に3.6%の運賃の値上げを実施すると発表がありました。
実は、ここ5年毎年の値上げをしており、5年間の値上げは合計10%を軽く越えています。日本からすると恐ろしい話ですが、それだけ物価も上昇している、という側面もあるのは事実です。

 

過5年間の上昇率

2009年 値上げなし
2010年 2.05%
2011年 2.2%
2012年 5.4%
2013年 2.7%

 

運賃の値上げについて、会社が赤字か、というとそういうわけではなく昨年の利益はHK$130億ドルの利益(約1710億円)も出ています。
また、ここ最近、MTRでは事故が多発しており、MTRが経営するライトレール(路面電車のタイプの軽軌道タイプ)では、車両が爆発したり、MTR(地下鉄)の配線断線による大幅な遅延など多くの問題が発生。一般市民からは批判も出ています。


左上からWest Rail Line、觀塘線、そして下のエアポートエクスプレス。MTR1日約350万人が利用しているといわれています。

 

 

 

 

 

日本の場合、公共セクターに近い交通費などの値上げについて、一方的にあげるなんてことはできませんが、ここは香港。

 

そこの会社の自由、何が悪い、という感じでしょうか。一応、香港政府もMTRの株を保有しており、値上げにはインフレ率など考慮に政府統計局とから指示されるインフレ率をベースに計算、第三者にも意見を…となっていますが、基本申請があればそのまま申請は受理される可能性が高いです。

 

利用者の増大に伴い、列車の増発などもしていますが、混雑状況の改善は進んでおらず、サービスの低下が指摘されています。
また、開業から35年経過し、重大なトラブルなどを無視して、運賃だけをインフレ率から見て上昇させる計算方法もおかしいと指摘されています。

 

その一方で新たな路線も工事が進んでおり、現在MTRが走ってはいないエリアに向けて延伸工事真っ最中。下町の情緒が残るケネディタウン、香港で最も人気のある遊園地Ocean Park(香港海洋公園)、香港島の南側に位置するアバディーンなどへの路線の延長もどんどん進行しています。それだけ開発も行えば、ある程度仕方ないかなーとも思いますが、MTRにはもう一つ、香港だけで鉄道事業だけをしているのとは異なる顔があります。

 

現在、日本の新幹線、各鉄道製造企業の皆さんは海外への売り出しをされていますが、目下、世界の地下鉄や鉄道インフラ輸出の先駆企業がこの香港のMTRです。日本が気づいたときにはMTRは世界の鉄道インフラからオペレーションまでの輸出事業では先を行く形になっています。広州~香港間の高速鉄道の工事もこのMTRが行っており、完成後のオペレーションもこの区間は担当することになっています(オペレーションなどMTRと聞いて、事故などは起きないのではと香港在住の皆さんは一安心)。

 

日本のように、しっかりとした時刻表があるわけではなく、ピーク時には3分間隔等ゆるーい部分がある種の世界基準。精度が高すぎてもそこでオペレーションできるかできないか、これはまた別の問題で、そこの国でのニーズをうまくつかむのが上手なのではないか、と思います。良い意味での合理的なゆるーい香港の部分、日本企業の皆様が海外へ出られる際、成功するかしないかにかかわってくる部分のような気がします。ある意味、日本の良さの緻密さを求めつつ、ゆるーい部分を取り込んでうまく真似ができるか。MTR、少し参考にされて見ると海外での成功につながるヒントがあるかもしれません。

 

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2014年3月28日